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長崎市の伊藤市長が暴力団員の凶弾に倒れた。平和を愛し、核兵器を憎む伊藤市長は、日本の平和憲法の価値を知るすばらしい政治家だった。憲法を変えたい人間にとってはもちろんそういう言論は邪魔である。しかし、言論では勝てないと考え、手段を選ばないという人間が出てくる。
そういう人間が野放しになって何度も何度も凶行に及ぶことをいまだに放置する社会がここにある。 アメリカの銃社会にも恐怖を感じるが日本の銃社会も恐怖である。アメリカに関しては、考えようによっては「治安が悪い」という問題かもしれないが、日本は私設KGBが暗殺にくる社会だ。 NHKなどではしきりに、犯人が長崎市の対応に腹を立てたことを強調している。要するに、何年か前、長崎市の道路工事のせいで犯人の車のバンパーが傷ついたが、その金を取れなかった腹いせにやったものだ、というのである。よくこんな子供だましを放送で流し続けるものだ。石井こうき暗殺事件でも金銭のトラブルがあったという話に矮小化して報道がなされた。 彼らは暴力をビジネスの手段として行う人たちだから、何がトクであるかを考えて行動する。たいていの場合暴力は振るった方が損である、ということは彼らはよく知っている。もちろん、きわめて地位の低い構成員が後先考えないでかっとなって行動してしまうこともあるかもしれない。しかし、犯人はその辺のごろつきやチンピラではなく、組織の論理を体現して動く地位にある人間である。しかも何年も前の事件について腹を立て、金にも何もならない行為にでるとは考えられない。 そう考えていくと、日本の右翼の7割方が暴力団系であるといわれることがなぜなのかわかってくる。暴力を使うものにとって、右翼として行動することは立派なビジネスであり、カネになるということである。もちろんその背後に、スポンサーがいるということになる。 いま北朝鮮が核施設の停止に動くことになれば、アジアは軍事的な雪解けが始まる。その中で日本だけが危機を演出し、憲法を改正しようとしてもきわめて困難となるかもしれない。だから議会では数の暴力、議会外では銃の暴力、呼応しているのではないか。 もちろん、日本のKGBは民営化されている以上、ビジネスとして独自の利益を追求し、スポンサー側に対しても場合によっては脅しをかけ、たとえば金払いが悪い、とすごんだり暴力を振るったりすることもあるだろう。そこは持ちつ持たれつである。 右翼という思想はない。ビジネスである。自然発生的に生ずる人々からの平等要求、権利の要求、平和の要求を潰すためにビジネスとして暴力を振るう、これが右翼である。大川周明がかつていったとおり、日本において右翼とは左翼に対する語、であるに過ぎないのだ(実際にはそうでない右翼はあり得るのであり、思想としての右翼については以前書いたとおり)。 このようなビジネスは、日本の自由と民主主義に対する重大な脅威となり、この社会にあってはならない。 しかし、自由と民主主義を守るはずの自由民主党の人たちの発言はこの問題については歯切れが悪いとしかいいようがない。 たとえば、首相の第一声は「真相究明を望む」だけであったそうである。これでは普通の事件である。言論を暴力で圧殺しようという行為に対する怒りは全く感じられない。 また、公職にある者に対する暴力は許されないとコメントした自民党の政治家もいた。公職にあるないにかかわらず言論を暴力で圧殺することが許されないのではないのか。 また、「公衆の面前でこのような行為は治安と民主主義に対する挑戦」というコメントなどもまるで、監視社会を進めよ、といっているかのようである。民主主義に対する挑戦というのはいいが、首相の「選挙期間中、選挙運動中の凶行は民主主義に対する挑戦であり、断じて許すわけにはいかない」という発言と併せて考えると、まるで選挙期間中はやめよといっているのとほとんど変わりなく聞こえる。 この人たちは、民主主義の価値など全く理解していないのではないか。議論を抹殺して強行採決を繰り返す人たちが語る民主主義がむなしく響く。
by luxemburg
| 2007-04-19 07:20
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