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by luxemburg
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ちょっと(というかかなり)タイミングを失してしまった感じもあるが、「拒否できない日本」(文春新書:関岡英之)を読んだ。一言で言うと、具体的な材料を丁寧にあげ、だから迫力がある力作という印象だった。
amazonが売りたくないわけもわかる。 以前から小泉がポチといわれている以上、多くの人が薄々、または断片的に知っていることではあるが、これだけ具体的に事実をあげて書かれると、ただただすごい、というしかない。 特に、米を買えとか牛肉を買えというだけでなく、日本の社会のあり方についてアメリカが事細かに注文をつけてくるのがここまで広範囲にわたっているとは知らなかった。 さらに、アメリカの要求、シナリオの通りの日本の改造が、まるで予言が的中するように実現していく過程を描ききっているのはみごと。 著者も迷っているように思えるが、アメリカという国は盗賊と同じなのか、訴訟社会に見られる通り、言わない日本がただ不甲斐ないだけなのか。イラク戦争を見る限りでは、やる時には有無を言わさず暴力で強奪する国である以上、前者であるように思えるがその点の結論は若干曖昧なところもある。 さらに、なぜ日本が唯々諾々としたがっているのか、もう一つはアメリカと中国がタッグを組んでいる背景は何なのか、という点はあまり説明されていない。 第一の点。日本がアメリカにここまで従属するようになった発端は、レーガン政権の時期にあるとしているが、それ以上のはこの本では踏み込んでいない。 そのころ日本側は中曽根が首相だった。ロン・ヤス関係、同盟関係と日米の協調が妙に強調される裏でそういう事態が生じていたことになる。 あの頃、ロッキード事件が公になり、田中角栄が捕まったが、実際にはロッキード事件で日本側に贈られた賄賂は30億円とされており、田中角栄が受け取ったのは5億円に過ぎず、残りの25億のうち大部分は中曽根に渡ったとされている。ところが、アメリカ側は田中角栄の分は尋問調書を出したが、中曽根の分は握りつぶした。 司法的には証拠不十分で中曽根は有罪に出来なかったかもしれないが、国民としては、アメリカ側が調書を出そうと出すまいと証言の内容が明確である以上、日本人が両者に問う政治責任は同じであるべきだった。 ところが中曽根はその後首相になるが、アメリカとしては握りつぶした尋問調書を目の前にちらつかせながら要求を言えばいい。このあたりから日本の政治家とアメリカの関係は大体決まってしまったのではないだろうか。 あと、疑問として残されていたのは、中国との関係だ。どうして中国がアメリカと組んで日本に不利な行動をとるのか。 一つは、今のところ、中国にとって日本の地位を奪うのが一番手っ取り早い(カシオの腕時計と同じものを作れても、ロレックスと同じものはそう簡単には作れない)からではないか。 もう一つは、国内政治がそれほどうまくいっているわけでもなく、反日感情を政権批判のガス抜きに してしまっている以上、日本と協力するということが非常に難しい状況があるのだろう。もちろん、その反日感情の燃料となるのが靖国参拝であり、執拗な中国批判だ。そうすることで、アメリカとしては、本来的には中国が感じるアメリカの軍事的脅威、反米感情を、反日感情にすり替えることが出来る。結局アメリカの意向に従って日本が中国と敵対する、中国は、本当は日本と協力したくてもなかなかそういう選択肢はとれない、ということだろう。 日本において本来愛国主義者であるべき集団がアメリカを攻撃せず、中国批判に走るのも、ちゃんとアメリカの思惑にそっているといえる。 ソ連崩壊までは、日本の反動派は悪魔のようにソ連を憎んでいた。それが自然な感情でころっと中国に変わるわけはないので、自分が操作されているということがわからないのだろうか。 参考:toxandriaの日記 小泉流「自己陶酔の美学」がもたらす日本ファシズム化への誘惑
by luxemburg
| 2005-11-14 22:15
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