人気ブログランキング | 話題のタグを見る

とりあえず、のブログです
by luxemburg
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

九条の会



最新のトラックバック
カテゴリ
ブックマーク
以前の記事
タグ
消費税増税---誰がなっても避けて通れない?
 空白の10年を過ぎ、さらにその後大空白の5年があって、これから崩落の3年があるだろう。その前兆はいろいろなところに見られるが、その一つが財政破綻と、郵貯民営化であることは、前に書いた
 もはや税制をどうこうという段階ではないような気もするが、消費税を大増税しようとする動きがある。10月23日には谷垣財務大臣が、次の首相が誰であれ、消費税増税は避けられない、といった。もちろん小泉がもともと「私の任期中はやらない」と言いつつ、国の借金を300兆ほど増やしてしまう以上、尻ぬぐいは次に来ることになるだろう。




◆ 消費税は最悪の税金(1)---担税力
 税金を取ることの正当性についてはいろいろあるが、とるためには、相手にその余裕がなければならないことになっている。つまり、「そんなに相続したのか、じゃあちょっと税金払えよ」「そんなに所得があるのか、じゃあ一部よこせよ」と言うことだ。
 余裕のない人間からむしり取ることはできない。そういう税金を取るための余裕を、担税力というが、消費そのものに担税力を見いだすのは困難である。たとえば極貧の者がなけなしの金で最低限の米を買ったら、「ほう、おまえ余裕があるな、税金払えよ」といえるのか、ということだ。

実はこんな消費税の考え方もあった
 理論としては、大昔、所得税に代わるものとして消費税を主張した学者がいた。
 その考え方は、所得ではなく、消費のほう、すなわちカネの入口でなく出口のほうに注目して余裕があるかどうかを考えようとしたのである。
 つまり、所得があっても病気がちで莫大な医療費を払う者などは担税力がない。出口のほうで、贅沢品をたくさん買っていたり、遊興費に使うものについて消費税をかければ、確実に余裕をキャッチすることができる。このやり方なら累進課税も可能だ。たとえば、年間100万円消費する者より、1000万円消費する者に対して税率を高くすることもできる。ただし、そうするとその人間の一年間の消費をトータルするなど、集計上の問題と、プライバシーなどでいろいろ問題がある。
 しかし、この考え方自体はなかなか優れている。一つは、相続だろうが泥棒だろうが、ギャンブルだろうが、あぶく銭をつかんだやつは、すぐに消費する。だから、消費の段階で税金を取れば、ほかのところを見張らなくとも確実にそいつの余裕を捕捉することができる。
もう一つは、入口と出口のどちらで金を取るか、という税金の基本を思い出させてくれるからだ。
 日本は以前、直接税中心主義だったから入口に着目した。「こんなに所得があるのか、税金払え。ただし、もうその余裕については税金を取った以上、それを使うのはお前の自由だ。税金を取らないから安心しろ」とやっていたわけだ。出口でとるなら、「おまえの収入はいくらであるか知らないし、その時に税金を取っていなかったが、おまえがこれだけ消費すると言うことは、相当な余裕がある、税金払え」となる。
 ところが、現在の日本は、収入の時に税金を取り、それを使うときに税金を取る。考えてみたら、その人間が余裕を持ったのは1回なんだから、一つの余裕に対して2回税金とるのはおかしい。この消費税を思い浮かべるとき、なんだか二重取りされているのではないか、という基本的な疑問を思い出させてくれるのだ。



◆ 現在の消費税は
 一つの余裕に対して入口と出口の2回税金とっているのではないか、という疑いがある。ただし、どちらも税率が低い場合、1回目で余裕を捕捉しきっていないのだ、といえなくもない。
 消費税を導入することによって、所得税が下げられたというのであれば、理屈は一応通るが、実際には金持ちの所得税だけが下げられてきており、結局、あとでふれる逆進性ということから考えると、貧乏人から金持ちへのカネの移転がなされたともいえる。

◆ 消費税は最悪の税金(2)---公平性と中立性
 税金は、公平でなければならず、中立でなければならないといわれる。

 公平とは、いろいろあるが、やはり問題になるのは金持ちと貧乏人との間の垂直的公平の問題だ。所得再分配機能を加味して考えると率は別として累進課税が公平と考えられている。ところが、消費税は逆進税といわれ、貧乏人ほど負担割合が高くなる(年収100万円の人が米に払う消費税が1万円として、1000万円の人はどう頑張って米を食べても2万円くらい。そうすると前者が1%、後者は0.2%となる)。
 そうか、貧乏人から多く取る税金は消費税か、ひどいな、と思われたかもしれない。ところが財政学などでときどき「貧乏人のみからとる税金」といわれるものがある。何かご存じか(答えは下に)。

 中立とは、税金を課すことによって、経済に影響を与えないということである。ただし、酒税やたばこのように、税金によって消費をある程度抑制するため、最初から中立性がないほうがよいとされる税金もある。いずれにしても消費税は、景気という観点から見ても消費に中立とはいえない。ただし、全体的に物を大切に使わない風潮を戒めるためにやっている、というのであれば、それはそれで立派とも言える。

 以上見てきたところでは、税金の一般的な原則から見て、あまりほめられた税金ではない、といえるように思う。
 ※ 上のお答えは「宝くじ」。いつも買ってる人、どう思いました?

◆ 消費税は最悪の税金(3)---その他の問題点
 今回問題になっている消費税の大増税では、消費税を福祉目的税としようという考えもあるようだ。
 実は消費税導入の時にもそのようないいわけがなされたが、消費税の導入によって下がってきたのは、むしろ法人税である。法人税は比較的大きな企業からがっぽり取っていく(中小企業は、意図的になされている場合もあるが赤字法人が多い)税金だったが、それが貧乏人の負担に変わってきた、これが消費税だった。
 これに対しては、法人税だって、事実上価格に転嫁されているんだから、あれは消費税とあまり変わらなかった、だから、法人税が減って消費税が増えたのはそうおかしくないんだよ、という反論もある。何でもいいから弱者からむしり取りたいやつはうまいことを言う。
 その話は別として、福祉目的税というのは基本的には、強い者から弱い人への援助のために所得移転をしようというものだ。しかし、それを弱いものから取ってどうする

戦争との関係
 こういう一般消費税というのは、戦争における戦費調達などと関連している、とよく言われる。確かに、消費税の税率だけで「贅沢は敵だ」などといわなくても簡単に消費をコントロールできる。経済に非常に介入しやすい税金であることは中立性のところでも述べた。税率を変えると簡単にカネが手にはいる。これもまた戦費調達には魅力的。消費税は、メカニズムとしては戦争と関連しているといってよい。
 実際、大正デモクラシーの時代には直接税中心でむしろ間接税は整理されるが、戦争が拡大するにつれ、物品税などの間接税がどんどん上げられていく(ただし10%くらいだったようで、間接税中心の税体系とまではいえないと思う)。現象的にも相関関係があるように思われる。

 こうやってみてきて、消費税を上げることには経済、福祉、平和というすべての観点からどうも説得力を感じない。今回は問題提起としておく。というのは、日本全体としてどうすればいいのか、ただ消費税は許せないという感情論だけでは問題は解決しないからだ。

◆ 消費税は最悪の税金(4)---弱肉強食的な構造
輸出戻し税という問題がある。
 80円で仕入れ、100円で売る企業の場合、消費税を5円払う。ただし、80円で仕入れた段階で4円払っているから、実際に自分が払うのは1円となる。
 ところが同じ商品が輸出された場合海外の消費者には消費税がかからないから、100円で売ったとしても消費税は払わなくてよい。しかも、本来消費税がかからないはずの商品に4円消費税を払っていたのか、かわいそうに、ということで、なんと返してもらえるのだ。
 消費税が上がれば上がるほどその額が増えるから、製品の半分を輸出する企業はホクホクである。
 実際にはこれに対する反論もある。輸出した以上、その製品の原材料には本来消費税がかからないんだから80円で仕入れられたはず。それに4円も払ったんだから返してもらって何が悪い、ということになる。正当とも思える。
 しかし、一般的には、下請けの企業がどの程度消費税分を受け取れるか、怪しいものである。「消費税分はそちらで泣いてくれ」と言われるのが普通ともいえる。このあたりは力関係でいろいろ状況は変わってくるだろう。
 そして、毎年1%ずつ税率を上げていく、などの案が実施されたとき、下請け企業は、1%ずつ細かく値上げしていけるだろうか。そういう問題も考えると、何重にも弱肉強食の税金、といえないだろうか。

税金の話というのは、自分に関わりがなければ本当に面白いです。
 結構笑わせるのは、白州(山梨県)にあるサントリーの博物館で、収税官吏に見つからないように洞穴に隠したのがウイスキーの熟成の始まりである、とかスコッチなどのブレンドウイスキー(ジョニー=ウォーカーなどもブレンダーの名前)が始まったのは、モルトに対する課税を免れるため他の成分を混ぜた、など。そのイタチごっこが書かれていて本当におもしろいです。

 但し、次の話は絶対に書いていません。

 日本最初のウイスキーは確かにサントリー(当時は「寿屋」)です。ウイスキーを始めるに当たって、サントリーがイギリスに技術者の派遣を頼んだところ、なんとイギリスからの返答は「イギリスで勉強した立派な技術者が日本にいるじゃないか」。それが竹鶴政孝(ニッカウヰスキーの創始者)でした。
 竹鶴はスコットランドに最も近い石炭質の水が出るのは北海道の余市だといいますが、サントリーの社長に「商売考えなきゃダメ」と言われ、消費地に近い山崎(京都府)の水で作り始めます。その後も、商売優先社長と本当のウイスキーを造りたい竹鶴の間で何度も確執があり、特に竹鶴に無断で品質を下げた事件が発端となり、ついに竹鶴はサントリーを辞め、自分でウイスキーを作ろう、と再度北海道の原野に立ちます。それがニッカウヰスキーの始まりです。
 竹鶴の作るウイスキーにはこういう逸話があります。イギリスの新聞記者達が、「日本人がスコッチを気取ってウイスキーを造っているらしい、一つ利き酒でもやるか」とやってみたところ、ウイスキーを知り尽くした彼らが「これが本当のスコッチだ」といったのは、英国製でなくほとんど竹鶴の作ったものだったということです。
 私はニッカの関係者でもないけど、こういう職人の話は結構好きです(余市のニッカ資料館に行っても少しはわかりますが、この話は小説にもなっています。ニッカホームページにも少しあるかな。
 サントリー博物館の展示をこの話を知ってから再度見るといっそう味わい深いです。「神の見えざる手」なんてないんだな、ってね。

 私も、博物館で「初代マスターブレンダー」と偉そうに書いてあるのを見て、・・・ああ、この人が商売上手なお方ですか、なんて思いながら見学させて頂きました。さらに展示では、サントリーの初期のウイスキーの悪口をしっかり書いてあります。そういうところも、なるほどなるほど・・・。案内のおねえさんはきれいな方で、ついついこういう話をしてあげてくなるのですが、きっと美女軍団は会社を信じきってて何をいってもムダだろうな。

 『プロジェクトX』もこういうネタを扱えば、年内で終了しなくてもいくらでもネタはあるでしょうに。でも、やろうとしたらどこかの政治家が聞きつけてきて、「公平にやってくれ」といいだすでしょうか。

せっかくだから判官びいきということで、いくつかリンクをあげておきますか。
3
 なんだか偏ったページが多いな、やめた(おまえに言われとうないわい)。

 で、まとめ。
日本最初のサントリーウイスキー、じつはニッカの創始者が作った、知ってました?


by luxemburg | 2005-11-08 23:13
<< あなたも反小泉ブロガー同盟へ(... 日本共産党の党名問題--これが最後 >>