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by luxemburg
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空白の10年を過ぎ、さらにその後大空白の5年があって、これから崩落の3年があるだろう。その前兆はいろいろなところに見られるが、その一つが財政破綻と、郵貯民営化であることは、前に書いた。
もはや税制をどうこうという段階ではないような気もするが、消費税を大増税しようとする動きがある。10月23日には谷垣財務大臣が、次の首相が誰であれ、消費税増税は避けられない、といった。もちろん小泉がもともと「私の任期中はやらない」と言いつつ、国の借金を300兆ほど増やしてしまう以上、尻ぬぐいは次に来ることになるだろう。 ◆ 消費税は最悪の税金(1)---担税力 税金を取ることの正当性についてはいろいろあるが、とるためには、相手にその余裕がなければならないことになっている。つまり、「そんなに相続したのか、じゃあちょっと税金払えよ」「そんなに所得があるのか、じゃあ一部よこせよ」と言うことだ。 余裕のない人間からむしり取ることはできない。そういう税金を取るための余裕を、担税力というが、消費そのものに担税力を見いだすのは困難である。たとえば極貧の者がなけなしの金で最低限の米を買ったら、「ほう、おまえ余裕があるな、税金払えよ」といえるのか、ということだ。 実はこんな消費税の考え方もあった ◆ 現在の消費税は 一つの余裕に対して入口と出口の2回税金とっているのではないか、という疑いがある。ただし、どちらも税率が低い場合、1回目で余裕を捕捉しきっていないのだ、といえなくもない。 消費税を導入することによって、所得税が下げられたというのであれば、理屈は一応通るが、実際には金持ちの所得税だけが下げられてきており、結局、あとでふれる逆進性ということから考えると、貧乏人から金持ちへのカネの移転がなされたともいえる。 ◆ 消費税は最悪の税金(2)---公平性と中立性 税金は、公平でなければならず、中立でなければならないといわれる。 公平とは、いろいろあるが、やはり問題になるのは金持ちと貧乏人との間の垂直的公平の問題だ。所得再分配機能を加味して考えると率は別として累進課税が公平と考えられている。ところが、消費税は逆進税といわれ、貧乏人ほど負担割合が高くなる(年収100万円の人が米に払う消費税が1万円として、1000万円の人はどう頑張って米を食べても2万円くらい。そうすると前者が1%、後者は0.2%となる)。 そうか、貧乏人から多く取る税金は消費税か、ひどいな、と思われたかもしれない。ところが財政学などでときどき「貧乏人のみからとる税金」といわれるものがある。何かご存じか(答えは下に)。 中立とは、税金を課すことによって、経済に影響を与えないということである。ただし、酒税やたばこのように、税金によって消費をある程度抑制するため、最初から中立性がないほうがよいとされる税金もある。いずれにしても消費税は、景気という観点から見ても消費に中立とはいえない。ただし、全体的に物を大切に使わない風潮を戒めるためにやっている、というのであれば、それはそれで立派とも言える。 以上見てきたところでは、税金の一般的な原則から見て、あまりほめられた税金ではない、といえるように思う。 ※ 上のお答えは「宝くじ」。いつも買ってる人、どう思いました? ◆ 消費税は最悪の税金(3)---その他の問題点 今回問題になっている消費税の大増税では、消費税を福祉目的税としようという考えもあるようだ。 実は消費税導入の時にもそのようないいわけがなされたが、消費税の導入によって下がってきたのは、むしろ法人税である。法人税は比較的大きな企業からがっぽり取っていく(中小企業は、意図的になされている場合もあるが赤字法人が多い)税金だったが、それが貧乏人の負担に変わってきた、これが消費税だった。 これに対しては、法人税だって、事実上価格に転嫁されているんだから、あれは消費税とあまり変わらなかった、だから、法人税が減って消費税が増えたのはそうおかしくないんだよ、という反論もある。何でもいいから弱者からむしり取りたいやつはうまいことを言う。 その話は別として、福祉目的税というのは基本的には、強い者から弱い人への援助のために所得移転をしようというものだ。しかし、それを弱いものから取ってどうする 戦争との関係 こういう一般消費税というのは、戦争における戦費調達などと関連している、とよく言われる。確かに、消費税の税率だけで「贅沢は敵だ」などといわなくても簡単に消費をコントロールできる。経済に非常に介入しやすい税金であることは中立性のところでも述べた。税率を変えると簡単にカネが手にはいる。これもまた戦費調達には魅力的。消費税は、メカニズムとしては戦争と関連しているといってよい。 実際、大正デモクラシーの時代には直接税中心でむしろ間接税は整理されるが、戦争が拡大するにつれ、物品税などの間接税がどんどん上げられていく(ただし10%くらいだったようで、間接税中心の税体系とまではいえないと思う)。現象的にも相関関係があるように思われる。 こうやってみてきて、消費税を上げることには経済、福祉、平和というすべての観点からどうも説得力を感じない。今回は問題提起としておく。というのは、日本全体としてどうすればいいのか、ただ消費税は許せないという感情論だけでは問題は解決しないからだ。 ◆ 消費税は最悪の税金(4)---弱肉強食的な構造 輸出戻し税という問題がある。 80円で仕入れ、100円で売る企業の場合、消費税を5円払う。ただし、80円で仕入れた段階で4円払っているから、実際に自分が払うのは1円となる。 ところが同じ商品が輸出された場合海外の消費者には消費税がかからないから、100円で売ったとしても消費税は払わなくてよい。しかも、本来消費税がかからないはずの商品に4円消費税を払っていたのか、かわいそうに、ということで、なんと返してもらえるのだ。 消費税が上がれば上がるほどその額が増えるから、製品の半分を輸出する企業はホクホクである。 実際にはこれに対する反論もある。輸出した以上、その製品の原材料には本来消費税がかからないんだから80円で仕入れられたはず。それに4円も払ったんだから返してもらって何が悪い、ということになる。正当とも思える。 しかし、一般的には、下請けの企業がどの程度消費税分を受け取れるか、怪しいものである。「消費税分はそちらで泣いてくれ」と言われるのが普通ともいえる。このあたりは力関係でいろいろ状況は変わってくるだろう。 そして、毎年1%ずつ税率を上げていく、などの案が実施されたとき、下請け企業は、1%ずつ細かく値上げしていけるだろうか。そういう問題も考えると、何重にも弱肉強食の税金、といえないだろうか。 税金の話というのは、自分に関わりがなければ本当に面白いです。
by luxemburg
| 2005-11-08 23:13
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