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by luxemburg
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九条の会



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行刑の現場とは
死刑廃止の議論をしていると、「終身刑がないから死刑が廃止できないんだよ。日本の無期懲役というのは、誤解してる人が多いけどいつ出てくるか決まっていないという意味の無期なんだよね~」という人が必ず現れる。
 では実際に死刑を廃止した国が終身刑という制度を採用しているのか、死刑の廃止と終身刑の創設がセットになるというのは本当なのだろうか。



ドイツは1949年に死刑が廃止され、確かにそのときに終身刑が創設されたという。たが、終身刑は1981年に廃止された。行刑の現場とは_e0068030_1626970.jpgまたアメリカでは、死刑があれば終身刑がないのかというと実際には3分の2以上の州、すなわち32の州で死刑と終身刑がある。死刑も終身刑もない州が10州。死刑がなく終身刑があるという州は6に過ぎない。死刑があり、終身刑のない州が2州ということになる(「無期懲役受刑者処遇の問題点と重無期刑(終身刑)の導入について」 海渡雄一弁護士)。
 表を見てわかる通り、死刑・終身刑ともあり、またはなし・なしが80%を超え、あり・なしの組み合わせ(グレーのマス目部分)は非常に少数である。
 アメリカやドイツの実態を見る限り、「死刑の代わりに終身刑」という関係にないことがわかる。そして日本は主としてこの2国から法制度を学んでいる(刑事実体法はドイツ、手続法は戦後はアメリカ)ことから、この意味するところは大きい。
 すみません、この数字について、アメリカの死刑廃止州は16か?12ではないか?というのと、もう一つ、イリノイ州は死刑執行停止に入っている事実を指摘せよ、というメールをいただきました。


◆ 死刑がありながら終身刑
 なんだそうだったのか、どころではない。
 実は日本ではひそかに実態が終身刑となってきている。今まで無期懲役といっても15年くらいで出てくると言われてきたが、最近は20年を越すようになっている。
 その上仮釈放は、刑務所長の一存で「悔悛の情」があるかどうかが考慮され、申請される。決して受刑者から申請するのではない。再審請求している人間はそれだけで悔悛の情がないとされる。
 さらにさらに、実は終身刑化はきちんと進んできているのだ。つまり無期懲役の中に事実上事実上仮釈放不許可(マル特無期懲役者というらしい)のものを作っておき、刑務所長が申請する場合に検察官の意見を求めるものとしている。「日本はすぐ出てきちゃうんだよね~」がいかに実態を知らない者のいうことかがわかるだろう。
 それだけではない、死刑廃止と関係なく終身刑の創設を求める動きすらある。何のことはない、死刑論議に絡めて終身刑をクローズアップしておき、終身刑だけを創設しようとする動きがあるということだ。そうなると、この流れでは今まで無期懲役だったものが終身刑になるだけ、という逆行が生ずる可能性も高い。

◆ さらに、行刑の実態はどうなのか
 同じく、そのページから記述を拾ってみると・・・
 昼夜間独居拘禁とは刑務所内の規律秩序を害する恐れがあるという理由で、受刑者を工場に出さないで、作業は狭い房内で、袋貼りなどの作業を行なう特別の処遇である。
 処遇の内容は作業以外の運動や入浴も一人だけで行なうのが原則である。所内のレクリエーションなどに出席することは認められず、通常の居房には設置されているテレビもない。房内では、作業中だけでなく、日課外の時間であっても、就寝時間前は、座った姿勢が強制され、立ち上がったり、壁によりかかったり、足を崩して伸ばすこと、立て膝なども禁止されている。
 房の外に出られるのは運動と入浴と面会の時に限られる。運動は土・日・祭日と入浴日(週2~3日)、雨天の日には実施されない。一回の運動時間はわずか30分で、通常の受刑者は広い運動場が使えるのに対して、独居者の運動場は鳥小屋と呼ばれている扇形の狭い檻のような空間である。そして、独居拘禁中は、房外に出たときも、他の受刑者との会話や看守との私語が厳格に禁止されている。家族の面会がなければ全く言葉をしゃべらない生活が続くことになる。
 昼夜間独居拘禁を受けている受刑者は全受刑者の4パーセント以上、数にして2000人以上、最長で37年、10年以上が28人(2001年7月の法務省調査では26人)、5年以上が65人、このうちの岐阜刑務所の1名を除いて全員が無期懲役受刑者。37年の独居拘禁は世界的にも類例を見ない過酷な状態である。
 厳正独居に類似した処遇は諸外国においても全く見られないものではないが、その処遇の内容には他に見られない特徴がある。最大の特徴は期間が著しく長いということである。また、房内での行動が制限され、特定の姿勢が強制されている。このような例は世界的にも例がない。人間が立ったり、座ったり、手足を動かしたり、色んな方向を向いたりすることは、人間の最低限の自由の中核的部分といえる。被拘禁者の監視、保護のため、このような基本的自由までが制約されることは、到底合理的とはいえない。
 長期にわたる場合には、腰痛その他の身体の障害にもつながりかねない。また、社会復帰を困難なものにしてしまう。また、ヨーロッパでは常識の房内での所持品や居房の広さなどについての特別の保障もされていない。戸外運動時間が週に1時間程度で著しく不足している。他の受刑者・看守との精神的な接触が断たれているため、心身の健康がむしばまれる可能性が高い。
 また手続的にも長期の厳正独居については刑務所長の権限だけでなく、上部機関の承認や裁判所の許可が必要としている国も多くある。日本のように刑務所長の権限だけで何年間にもわたって独居を続けることができるというのはあまりにも乱用の危険が大きいといえる。
 我が国の異常に長期におよぶ独居拘禁は、自由刑の基本が社会復帰にあるという考えに日本の矯正当局が立っているかどうかが試されている、極めて重く本質的な問題をはらんでいる。


◆ドイツの行刑の実態について
 こちらのページに詳しい。そういえばワールドカップに盛り上がるドイツ刑務所内部の映像が出たが、日本の一般市民の平均よりむしろいい生活しているかもしれない。というのは、狂牛肉や遺伝子組み替え食品が入ってこないし、医療が受けられなくておなかがパンパンにはれてから病院の前で倒れる人などいないのだから。
 「受刑者を優遇しすぎてるんじゃないのか」という前に、われわれの置かれている状況が以下におかしいか、先に考えなければならないかもしれない。
クライン孝子さんのホームページ等によれば、TV付個室でラジカセも持ち込むことができ、部屋の鍵は受刑者が所持している(内側からは鍵はかけられないらしい)。受刑者4名に付き1部屋のリビングルームも設置、ジム・体育館・プールなどの諸施設も完備。年3週間の休暇が与えられ帰宅することもドイツ国内の旅行(届出制)も楽しむことができる。
このような刑務所は開放刑務所と呼ばれヨーロッパではスタンダードになりつつある。電話も備え付けられており、デンマークにいたっては男女混合刑務所も設置運営されている。もちろんヨーロッパでは普通の第三者機関に刑務所が公開され、刑務所の透明性を図っている。

 優遇されすぎている・いないと反応する前に、透明性を図る、これだけでも学ぶべきである。韓国では死刑廃止だけでなく、取り調べにビデオ録画導入へと、だんだんと進みつつあるようだが、日本もがんばってもらいたい。


ドイツにおける殺人発生認知件数と100万人あたりの殺人認知件数
年度           1995 1996 1997 1998 1999 2000
殺人発生認知件数     1370 1250 1179 976 1005 960
100万人あたり殺人認知件数 1.68 1.53 1.44 1.19 1.22 1.17

(エキサイトはtableタグを入れさせてくれないので、ちょっと崩れてます。すみません)

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 書く書くといいながら代替刑の問題を書くのが遅くなってしまいました。図表は最初円グラフにしていたのですが、このほうが楽しいので、この表に変えました。
(2007年3月2日)
 コメント欄に「名無し」で10連投ほどする人がいて、しかも用語の問題を長々と書いてはあったのですが、どうぞおかきくださいと思っていたら、こちらに返答義務があると書いてきたので嫌がらせと判断し、削除しました。
by luxemburg | 2006-10-09 06:56
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