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by luxemburg
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九条の会



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木村太郎さんってこの程度の人なの?
 テレビに出たりしていることは知っていたのだが、木村太郎さんの文章を読むのははじめて。東京新聞6月10日(土)の夕刊4面に「太郎の国際通信」というコラムがあり題は「カナダに見る『共謀罪』」。



 話のきっかけは、爆弾テロを計画していた17人をカナダのトロント市捜査当局が逮捕したというもの。カナダでは「テロ対策法」により、メールの傍受、おとり捜査などの手法により逮捕されたが「これらの手法は日本ではタブー」と書かれている。
 結局のところテロ対策に「共謀罪」が必要なんですよ、という流れで書かれているのだが、「それが必要なことかどうかは議論が分かれる」と自分の結論は出さず、国連の「国際組織犯罪防止条約」はまさにこうしたテロ計画を未然に防ぐことを目的としている、そして日本は国内法が伴わないので批准ができていない、とだけ書いている。自分がどう思うのか、その論拠は何なのか、きちんと書くべきではないのか。

 前に聞いた話だが、マンションで自分ちのこどもがピアノを弾いていたら、隣の人がピンポーンと来た。で、言うには、「ピアノは8時までとマンションの話し合いで決まってるんでござーますの。いえ、うちはいいんですよ。ただ、そういう決まりにうるさい方がいらっしゃるから、先にお教えしておいた方がいいと思いまして~、オーホホホ」というオバハンの話を聞いたことがある。自分がどう思うかは言わないのだ。ただ「国連」「国際的」などの言葉を並べて、オーホホホと言うだけ。
 必要なら必要ということをしっかり書いた方がまだましである。東京新聞だから読者が少ない、だから真剣に書かなくてよいのだろうと思われたのかもしれない。

具体的にも間違いだらけである。
 まず、このカナダの事件は爆弾の原料を3トン入手した、という「物的な行為」を行っているのだ。ただの共謀ではない。場合によっては殺人予備、内乱予備、凶器準備集合など日本の現行法で対応できる。共謀罪がなければダメというのは、全くの嘘っぱちである。
 次に、国際組織犯罪防止条約はテロをターゲットにしたものではない。法務省のサイトでも一切そんなことは書かれていない。この条約については2001年の911テロの前から策定が始まっており、カナダが911テロのあとにつくったというテロ対策法とは何の関係もない。全くの嘘っぱちを書き、「テロこわいでしょう?だから共謀罪、必要なんですよ」というきわめて悪質な議論をしていることになる。

 さらに、メールをすべて傍受することを奨励しているようだが、本気なのか?それなら市民生活の個人的なやりとりもすべて傍受すべきだと明確に主張すべきだ。できないだろう?自分のホンネを隠しながらこうやって文章を書く、一体何のために、誰の利益のために書いているのか、こんなことをするような人間になって欲しいと思ってお母さんはおなかを痛めて生んだんじゃないのよ(今度は誰になったんだ?)。

 国連の国際条約なのに批准ができていない、と「国連」を錦の御旗に、まるで日本が国際社会の一員として行動しなければならないかのように書いておられるが、今述べたとおり必要もない共謀罪をつくりたがる。では子供の権利条約を完全批准してないが、それはいいのか?日本はそういう大事な条約を骨抜きにするのが得意な国である。共謀罪だけまじめにやったら、人権侵害だけには熱心な国、ということになる。これは本当に恥ずかしいことだ。

 木村太郎さんというのは一応知識人なのかオピニオンリーダーなのかなんだかよく知らないが、それならそれできちんとした知識、きちんとしたオピニオンを明確にしてもらいたい。
 東京新聞もこんな議論にもならないような意見をのせて恥ずかしくないのか。それとも、ここまでひどいのをのせて、共謀罪賛成派のレベルを笑う企画なのか?



 私は先日共謀罪が強行採決されなかったことがブログの初勝利ではないかと書いた。しかし、サメの攻撃を一回かわしただけである。サメは向こうで今反転して、再度こちらに向かってこようとしている。何故こんな危険なサメをこの日本という水槽に飼っているのか、これをしとめない限り、4回目の攻撃に来る。何故サメにエサをやり続けるのか、本当に理解に苦しむ。



15日追記。コメント欄でご指摘いただいたとおり、東京新聞14日朝刊で、木村太郎氏と名指しはしないものの、このカナダの事件につき共謀罪が必要であるかのようにいう主張は「はき違えた議論」と批判されている。
 まさにその通り、共謀罪がどういうふうに必要、という議論をするのならまだしも、推進側は徹底的に「だます」という手段にでていることがよくわかる。木村太郎氏も無知をさらす形になってまで政権にすり寄りたい動機は何なのだろうか。正しいことを言うと使ってもらえないという世相の表れに過ぎないのか、彼にこのような浅ましい行為をさせず、ぜひ彼の良心のままに発言できる社会をつくってあげなければならないと思う。

 おちゃらけて言わせていただくと、これができていないのは日本人の「民度」の低さが問題だ。
by luxemburg | 2006-06-13 23:40
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