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「英霊」はここに
 憲法97条について以前のエントリーで書いたところ反応もいただいたので、ちょっと私なりの補足を。



第97条
 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。


 この条文は名文である、というだけでもよいが、どうして基本的人権(第3章)のことが憲法第10章の「最高法規」の章に念押ししてあるか、というところがポイント。実際、第三章の最初の方と比べてみると

第11条
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。


 確かに11条と97条はそっくりで、97条は無用の繰り返しだから不要、とも考えられそうだ。
案の定、改憲論の中には「11条が『与えられる』で、97条が『信託された』と書かれているが、これは矛盾している。憲法はあわてて作ったから、あちこちにほころびがあるんだよ」というようものもある。

97条の意義
 97条は「最高法規」の章にある。最高法規というのは、国家の法の中で最高の位置にあるということで、それより下位の法律、政令、条例などは憲法に逆らえない、ということだ。憲法なんだから内容にかかわらずとにかく従え、というのは形式的最高法規という。先日韓国映画を見たので、それらしくいうと「父のいうことは絶対だ、逆らうことはゆるさん」という感じになる。
 しかし、それだけで言うことをきいてくれる子供は、今や韓国でも少ないかもしれない。そこで、なぜ父の言葉が最高法規なのか、その根拠は何なのかを伝えておくべきだ。
 「それは、父がおまえのことを一番知り、一番愛し、心から応援しているからだ。それに、おまえは俺の遺伝子を受け継いで、向こう見ずだ。父がしてきたいろんな失敗や経験を是非おまえに伝えたい、きっと役に立つと思う」と、なぜ従うべきなのかという実質の方を説明されれば、こどもも一応納得するだろう。

 父の失敗程度なら従わなくても大した話ではないが、人類は、この憲法を生み出すまでに、とてつもなく多くの血を流してきた。従わなくてよい失敗談とは違うのだ。
 古くは、ヘロドトスの「歴史」に出てくるペルシャ王クセルクス。どうしてもギリシャの民主主義をつぶしたくて、「命令する王もおらず、自由な国民から成る国がペルシャに勝てるわけがない」という。それに対し、ギリシャの捕虜が「ギリシャは確かに自由な国です。しかし、法(nomos)という王がおります」という。そして、彼らがその自由と、自由を保障する法を守るために示す恭順は、命をも恐れぬものである、というのだ(ここに「法の支配」の原型を見ることができる)。
 その後も、イギリス、アメリカ、フランスと、自由と民主主義のために多くの血が流された。もちろんその中には、戦争の悲惨さを世界に突きつけた、第二次世界大戦の犠牲者も含まれる。そうしてこの憲法が生まれた。これが信託された、ということだ。
 つまり、97条は、憲法が最高法規である実質的な根拠は、自由を保障する法だから(実質的最高法規性)だ、やみくもに憲法に従えといっているのではない。そして、その自由は、それを生み出した過去の自由を求める人々の尊い犠牲、幾多の試練を乗り越えて我々に「預けられた」といっているのである。
 単にアメリカに押しつけられたなどというスケールの小さい話ではない。過去幾多の試練にたえた人類からバトンを受け取ったのである。

で、11条と97条
 11条は、基本的人権の保障の章にあり、人権は「与えられた」のだから、自分のものとして自由にそれを謳歌し、存分に使いなさい、と書いている。
 97条では、憲法が定める基本的人権は、死をもおそれなかった多くの人々の自由への願いが込められ、我々に預けられたものだ、我々自身のものだけど、同時に預けられたものだ、と書かれているのである。「信託」とはうまく言ったもので、所有権自体は移転するから、現在「我々のもの」なのだが、究極的には預けられ、子ども、孫に受け継ぐべきものなのである。自由を保障する法だから最高法規なんだ、と書いている。

 どうだろうか。97条が11条の無用な繰り返しでないことがおわかりいただけだだろうか。もう一度、97条を読んでみてもらいたい。読みながら、人類の「幾多の試練」を思い浮かべてみて欲しい。

 第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。



 私は「英霊」を敬おうとする気持ちの根底にある心情は理解しているつもりである。自分たちが今ここにあり、自由に生きる、そのことを感謝せずにはいられない。
 しかし、我々が感謝すべき「英霊」はどこにいるのだろうか?偶像にも教義にも神殿の中にもいない、我々が自由に生き、生きようとするこの日々の中に息づいているし、息づいていなければならないのではないだろうか。97条は我々が憲法を守り(正確には「守らせ」)、次の世代に伝えていくことが「英霊」への何よりの感謝と教えているように思う。

※ 戦前の「英霊」の扱いはどういうものか、ここにその例がでている。
 昭和15年、当初数ヶ月で終わるといって始められた日中戦争が泥沼化し、犠牲者が10万人にも及んでいると批判した国会演説があった。この演説に対して、10万英霊を冒涜するのか、と批判、非国民扱いがなされ、この議員は除名される。「英霊」を利用してさらに国民を奈落の底に落とす、それが「英霊」の望むところなのか、という疑問を投げ掛ける。

 それにしてもこの人、「ゴルゴ13」よりすごい人だと感心する。
 もう一つ感心したのは、当時この演説が喝采を浴びたこと、新聞も好意的に紹介しようとしたこと、それだけでなく次の選挙でもこの人は当選したことなどから、当時の人々も戦争を何とかやめさせようと頑張っていたことがよくわかる。日本人も捨てたものじゃないな。


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by luxemburg | 2005-11-02 18:58 | 憲法
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